8.会社法【設立】④
こんばんは、marginal62です。
今回で会社法の設立分野のレジュメ化をいったん終えたいと思います。
(意外と長かった、、)
次回は、設立の分野に関する論点についてみていこうと考えてます。
【目次】
1 総説
2 設立手続
⑴発起設立
⑵募集設立
3 設立中の法律関係
4 違法な設立・会社の不成立
5 設立に関する責任
4 違法な設立・会社の不成立
⑴会社の不成立
会社の不成立とは、会社の設立が途中で挫折し、設立の登記まで至らなかった場合
をいう。
この場合、発起人は連帯して株式会社の設立に関してした行為について責任を負う
(無過失責任。56)。
⑵会社設立の無効
設立無効の訴えは設立登記から2年以内に(828Ⅰ①)、株主等(同Ⅱ①)のみが提起可
能(会社債権者は提訴権者に含まれていない。→債権者保護は53Ⅱで。)。
設立無効の判決が確定すると、その効力は第三者に対し(対世効)、将来に向かって
生じる(将来効)。
設立無効の訴えで、原告敗訴の場合、判決の効力は当事者間にしか及ばない(民事訴
訟法115Ⅰ)。
⑶無効事由
設立手続に重大な瑕疵がある場合。
EX.①定款の絶対的記載事項が欠けていたなど重大な瑕疵の存在
②設立時発行株式を1株も引き受けない発起人がいる場合
③公証人による定款の認証がない場合
④株式発行事項につき発起人全員の同意(32)がない場合
⑤設立に際して出資される財産の価格の最低限として定款に定められた金額
(27Ⅳ)に相当する出資がなされていない場合
⑥募集設立において創立総会が適法に開催されていない場合
⑦設立登記が無資格者の申請に基づくなどの理由で無効である場合
など
⑷会社の不存在
会社の不存在とは、会社の設立手続の瑕疵が甚だしく、そのことが外観上も明らか
な場合をいう。(狭く限られている)
5 設立に関する責任
設立に関する違法行為や不正行為につき、会社法は発起人等に罰則を定め、過料に
よる抑止を図っている。
⑴財産価格の填補責任
現物出資・財産引受けの、会社設立時を基準とする目的財産の価格が 定款に定め
た価格に著しく不足するとき、発起人・設立時取締役は会社に対して、連帯して、
その不足額を支払う責任を負う(不足額支払義務。52Ⅰ)。
ただし、発起設立の場合、①検査役の調査を得たとき、②当該発起人・設立時取締
役が無過失を証明したときは、これらの者は免責となる(同Ⅱ)。
募集設立の場合、設立時募集株式の引受人は自衛能力が十分でないため、②による
免責は認められない(103Ⅰ)。
⑵仮装の出資履行についての責任
株式匹人が出資の履行を仮装した場合、会社に対し所定の額の金銭を支払う義務を
負う(52の2Ⅱ・102のⅠ)。
出資の履行の仮装に関与した発起人も同額の金銭の支払い義務を負うが、注意を怠
らなかったことを証明すれば免責(52の2Ⅱ・103Ⅱ)。
両者の責任は、連帯責任。
⑶会社・第三者に対する責任
発起人・設立時取締役・設立時監査役は、その任務の懈怠から会社に生じた損害を
賠償する責任を負う(53Ⅰ)。
責任を免除するには、総株主の同意を要する(55)。
また、職務を行うについて悪意・重過失により第三者に生じた損害を賠償する責任
を負う(53Ⅱ)。(会社成立後の役員等が会社・第三者に負う賠償責任(423・429)に相
当)
⑷擬似発起人の責任
擬似発起人とは、募集設立において募集の広告その他募集に関する書面に創立委員
などとして自己の氏名及び会社の設立を賛助する旨を記載することを承諾した者を
いう。
この者は発起人ではないが、発起人とみなして会社法52~56・103ⅠⅡの責任を負
う(103Ⅳ)。
以上で、一通り設立分野のレジュメ化を終えました。
【次回】
会社法【設立】論点