marginal62の書籍レジュメ化ブログ

はじめまして、marginal62です。訪問いただきありがとうございます。ここでは、自分が読んだ書籍を自分なりにレジュメ化したものを掲載しております。専攻している法律系の書籍が中心となりますが、その他にも気になったものはレジュメ化していきます。レジュメ化する趣旨は、自身の学習の過程をついでに発信してしまおうというものです。これを見てくださった方の学習等にも役立ち、また、コメント等を通じて情報や意見の交換ができれば、なお嬉しいです。各種資格試験にも挑戦しております(法律系)。その経過も記事にしていきます。

フリートリッヒ・リスト【倫理・分権思想と経済学】

こんばんは、marginal62です。

今回はリストの倫理・分権思想と経済学について書いてみました。

まとまっているかは疑問ですが(専門分野ではないので専門分野ではないので)

 

 フリートリッヒ・リストは、自らの自治・分権的な政治構想を支える思想をコルポラティオン論で展開する。そこでは、自治的共同体を発生史的に、ゲマインデから地方、州、そしてその延長線上に国家の存在を見ている。ここでリストは、国家をも自治的共同体のひとつと考えると同時に、その国家も自らの共同の目的のために、ゲマインデを構成する市民によって結社として自由につくられたものであると主張する。さらにリストは、機関信託論にもとづいて議会の憲法草案に対する批判を展開している。具体的には、「ヴェルテンベルク憲法闘争」の中で議会が準備した憲法草案では、参事会のメンバーを郡長が一元的に任用することになっていた。それは、参事会が郡長と書記の監督・指導のもとにおかれていることを意味するため、市民的自由(自治・分権)の立場から、リストはそれを容認できないとした。他方、機関信託論は参事会にのみ適用されたわけではない。つまり、国王の意志は常に臣民の福祉を図ることにあるが、その過程においてそれに反することがあった場合、その責任は国王ではなく国王の意志の実現に効力を持たせるために副署をした大臣に求められる。ここでは、国王の信託と臣民の信託を同一のものと考え、国王の信託を経由した形で国民からの機関信託論の論理を貫徹させている。

 リストはその著書『経済学の国民的体系』において、経済学の国民的原理を明らかにすることを課題とする。それに関連してリストは、人間の社会を世界主義的な観点と政治的観点の二重の観点から見ることができるという。前者は普遍主義の原理を意味し、後者は国民的原理を意味している。さらにリストは、普遍主義の原理に立脚したものが交換価値の理論であり、国民的原理に立脚したものを生産諸力の理論であるという。ここでリストは、富をつくり出す力は富そのものよりも無限に重要であるとする。また、スミスの『国富論』を読み替えながら初期の農業・工業状態にふさわしい経済原理を確立しようとしている。その場合、リストによれば生産諸力が重要な基本的要素となる。さらに、リストは生産諸力を国民的なレベルにおいてとらえようとしている。これは国民的生産力という考えであり、国民生活の精神面に関わる精神的生産力、国民生活の物質面に関わる物質的生産力、及び国民の社会生活全般に関わる社会的生産力の3つから構成されている。この考えは、分業こそが労働の生産諸力を改善させる原因であるというスミスの根本原理を承継したものである。そして、国民的分業の構想とは精神的生産と物質的生産の、または農業と工業と商業の分割と結合をはかることである。ここでスミスの生産的労働論と比して、リストは農業・工業・商業の分野の労働は交換価値を物質的に生産するため生産的である一方、生産諸力を生産する労働も、物質的生産諸力の担い手たちを育て支える精神的な労働であるから生産的であるとする。すなわち、国民的分業の担い手とは、農業者、製造業者、商人のほかに、公的領域での仕事に従事する公共社会の使用人である。よって、リストは、農業者、製造業者、商人というような生産者層と公的な領域での仕事に従事する階層の市民的自由を基礎とし、都市や農村のゲマインデとを結合した地方から、州を経て国家へと重層的にのぼっていく、下からの自治・分権的な社会の樹立こそが社会的生産力と考えた。

リストの生産諸力の理論を特色づけるものに工業力優位の思想がある。つまり、リストは工業力の樹立を通して農業生産の停滞を解消するとともに、都市と農村の連携を通じて市民的自由・自治の担い手を農村部にも育てていくことを考えていた。それは同時に、農業者、製造業者、商人といった旧市民層と呼ばれる人々を、近代的な自由の精神に基づく新市民層へと転換させるものでもあった。リストの工業力優位の思想は、農業者と製造業者の分割・結合を強めることからはじまる。次に、その間をとりもつ商人をも含めた市民層の自由な意識を、都市と農村が一体となった局地的あるいは地域的な市場という自立した経済基盤の形成により育てていく。それから順次に地方市場、国内統一市場という自立した経済基盤を拡大することで、都市と農村のゲマインデの結合体である地方から州、国家へと重層的にのぼっていく自治・分権的な政治機構に照応した個人としての自由な市民層を国民的レベルで育てていこうとするものであった。またリストは、この工業力優位の思想を確かなものにするため、作業継続の原理を提唱する。これは時間的広がりでの分業論を展開したものである。さらにリストは、国内産業を保護・育成する保護関税制度の必要性も主張する。ここでリストは国際的分業を語るが、それは隷属的なものとする。つまり、ドイツにおける利害を最優先にした思想であった。