marginal62の書籍レジュメ化ブログ

はじめまして、marginal62です。訪問いただきありがとうございます。ここでは、自分が読んだ書籍を自分なりにレジュメ化したものを掲載しております。専攻している法律系の書籍が中心となりますが、その他にも気になったものはレジュメ化していきます。レジュメ化する趣旨は、自身の学習の過程をついでに発信してしまおうというものです。これを見てくださった方の学習等にも役立ち、また、コメント等を通じて情報や意見の交換ができれば、なお嬉しいです。各種資格試験にも挑戦しております(法律系)。その経過も記事にしていきます。

民事執行保全法【非金銭執行】

1 民事執行は、強制執行、担保権実行競売、換価競売及び債務者の財産開示手続に分類される。このうち、強制執行については、金銭の支払いを目的とする債権についての強制執行を金銭執行、金銭の支払いを目的としない請求権についての強制執行は非金銭執行と位置付けられる。非金銭執行は執行の面では、①物の引渡し・明渡しを目的とする請求権(与える債務)と、②作為・不作為を目的とする請求権(為す債務)とに大別される。

2 物の引渡し・明渡しを目的とする請求権についての強制執行

 ⑴物とは金銭以外の有体物をいい、物が不動産か動産かにより、また物の占有状態に  より、①不動産の引渡し・明渡しの執行、②動産の引渡しの執行、及び③第三者占有物の引渡しの執行に大別される。

 ⑵不動産等の引渡し・明渡しの執行

  不動産の引渡しとは、不動産の占有を移転することをいい、明渡しとは、居住する人を立ち退かせ、または置かれている物品を撤去した上で占有を移転することをいう。船舶の引渡しは原則として動産引渡しの執行方法によるが、人が居住している場合は、家屋の引渡し・明渡しと同様の執行方法による。不動産についての執行方法は、債権者の申立てに従い、直接強制または間接強制による(民事執行法(以下、法令名省略。)168条・173条)。直接強制は債務者以外の者が占有している場合にはできない。もっとも、債務者の家族その他の同居人で債務者に付随して居住しているに過ぎない者に対しては債務者の債務名義で執行することができる。これに対し、賃借人のように権原により独立の占有を有している者については、別途それらの者に対する債務名義が必要である。

 ⑶動産の引渡しの執行

  債務者が占有している動産の引渡しの強制執行は、債権者の申立てに従い、直接強制または間接強制により行われる(169条・173条)。動産には有価証券を含むが、人の居住する船舶・自動車等は含まない(169条1項)。動産引渡しの執行の場合、債権者(またはその代理人)が強制執行の場所に出頭しなくても実施できるが、執行官においてその動産を保管しなければならないため、執行官は当該動産の種類・数量等を考慮してやむを得ないとするときは、執行の実施を留保することができる。

 ⑷第三者占有物の引渡しの執行

  不動産・動産を問わず第三者が執行目的物を占有している場合、債務名義の名宛人になっていない第三者に対して物の引渡しの強制執行をすることは原則としてできない。

3 作為・不作為を目的とする請求権についての強制執行

 ⑴作為・不作為を目的とする請求権はいわゆる為す債務であるから、執行においては、人格の尊重という近代法の思想からして、直接強制の方法をとることはできない。作為・不作為を目的とする請求権は、①代替的・不代替的作為を目的とする請求権、②不作為を目的とする請求権、及び③意思表示を目的とする請求権とに分けられる。

 ⑵代替的作為請求権の執行方法

  代替的作為請求権とは、請求権の目的である行為が債務者以外の第三者によってなされても、債権者が受ける経済的・法律的効果において債務者自身がした場合と差異を生じない請求権である。執行方法としては、一般的には代替執行が用いられる(171条1項)。また、間接強制によることもできる(173条1項前段)。債権者は債務名義に基づき執行裁判所に対し授権決定を申立て、執行裁判所は当該申立てを認める場合は授権決定をする(171条1項、民法414条2項本文)。授権決定をする場合、債務者を審尋しなければならない(171条3項)。授権決定は債務名義ではなく執行分付与を要しない。

 ⑶不代替的作為請求権の執行

  不代替的作為請求権とは、債務者に代わって債務者以外の第三者が作為をすることが法律上又は事実上不能であるか、仮に可能であっても債権者に対し債務者がなしたのと同様の効果を与えることができないような行為を目的とする請求権をいう。よって、債務者自身が行為をしない限り債権の内容は実現されない。そこで間接強制により、債務者に心理的圧迫を加え債権の実現をはかる。ただし、間接的にも履行を強制することが公序良俗に反するような債務や強制したのでは本来の債権の内容の実現が期待できないような債務、債務の履行のために債務者の意志のほかに、特殊の設備や技能又は第三者の協力が必要な場合な間接強制はできない。

 ⑷不作為請求権の執行

  これは債務者が特定の不作為義務を負っている場合の強制執行である。不作為義務には、債務者の積極的な行為の禁止を求めるもの(狭義の不作為義務)と、債権者なり第三者のなす行為を受忍し、それを妨害しないことを内容とするもの(受忍義務)がある。

 ⑸意思表示を求める請求権の執行

  債務者の意思表示を目的とする請求権は不代替的作為義務であるため、間接強制(172条)によることもできるが、意思表示がなされた場合と同一の効果が生じればそれで足りるため、意思表示を命ずる裁判をもって債務者の意志表示に代える判決代行の方法をとる。