10.会社法【株式】①
こんばんは、marginal62です。
久々のレジュメ化記事の更新です(笑)
今回から会社法の株式の分野です。特に重要な事項は、株式有限責任の原則(104)・株主平等の原則(109Ⅰ)・株式譲渡自由の原則(127参照)・株主名簿・株式の共有ですかね。
では、さっそく。
【目次】
1 株式と株主
2 株式の自由譲渡の原則と譲渡制限
3 株式の譲渡・担保化と権利行使の方法
4 特殊な株式保有の形態
5 投資単位の調整
1 株式と株主
<株式とは?>
⇒株式会社の社員たる地位・資格(株主権)。
細分化された割合的単位の形をとる。
株式会社の社員=株主
<株主になるには?>
⇒①出資による方法
②他の株主からその保有株式を承継取得する方法
a 譲渡等によって当該株式を個別的に承継する場合
b 相続や合併などの一般承継の際、承継財産の一部として株式を取得する場合
⑴株主の権利
①自益権と共益権
<自益権とは?>
⇒株主が会社から経済的利益を受ける権利。
EX.剰余金の配当を受ける権利(105Ⅰ①・453)
残余財産の分配を受ける権利(105Ⅰ②・502)
※上記2つは定款で制限は可能なものの、我が国の株式会社が営利目的を想
定していること(の現れ)から、一切与えないということは許されない
(105Ⅱ)。もっともこれらの権利は抽象的権利であり、会社が剰余金の配当
や会社の解散を決定してはじめて具体的な請求権となる。
株式買取請求権
<共益権とは?>
⇒株主が会社の経営に参与し、あるいは会社の経営を監督・是正する権利。
EX.株主総会における議決権(105Ⅰ③・308)
株主総会における質問権(314)
提案権(303~305)
総会招集権(297)
各種訴訟提訴権
<単独株主権とは?>
⇒1株でも株式を保有する株主であれば行使できる権利。
EX.自益権
共益権(議決権・代表訴訟の提起権・差止請求権)
<少数株主権とは?>
⇒行使のため、一定数の議決権、又は総株主の議決権の一定割合の議決権若しく
は発行済株式の一定割合の株式を有することが必要な権利。
EX.共益権(株主総会招集権・役員の解任の訴えの提起権)
③株式買取請求権
<株式買取請求権とは?>
⇒一定の場合、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを株式会社に請求
できる権利。
①会社が株主の利益に重大な影響を及ぼす一定の行為を行う際、反対株主に認め
られる株式買取請求権、②単元未満株主の株式買取請求権(192以下)がある。
<反対株主とは?>
⇒当該総会に先立って当該行為に反対する旨を会社に通知し、かつ、当該総会に
おいて当該行為に反対の議決権を行使した株主。
⑵株主の義務・責任
株主はその有する株式の引受価格を限度として、それを超えあるいは会社債権者に
対して責任を負わない(株主有限責任の原則。104)
つまり、株主となった後は何ら義務を負わないのが原則。
⑶株主と債権者
<株主と債権者の違いは?>
⇒①権利内容の未確定性(債権者は契約により会社から受ける経済的利益の内容が決
まっているのに対し、株主は配当額についてあらかじめ決まっているわけではな
く、事後的に株主総会によって決まる。)
②劣後性(株主が会社から受ける権利は、債権者の権利に劣後する。EX.清算時)
③会社経営のコントロール(株主は会社の実質的所有者で会社経営を間接的にコン
トロールするが、債権者は経営にタッチしない。)
⑷株式の内容についての特別の定め
①譲渡制限(譲渡制限していない会社は公開会社。)
②取得請求権(当該株式について、株主が会社に対してその取得を請求する。)
③取得条項(一定の自由の発生を条件に、会社が株主から当該株式を取得できる定
め。)※株主に選択権なし。
<方法は?>
⇒株主総会の特別決議以上に厳格な決議(特殊決議)を要する。
具体的には、議決権を有する株主の半数以上であって、かつ、当該株主の議決権
の3分の2以上の賛成が必要(309Ⅲ①)。
また、反対株主には株式買取請求権が与えられる(116Ⅰ①)。
⑸種類株式
<種類株式とは?>
⇒内容の異なる2以上の種類の株式(108)
種類株式を発行する会社を、種類株式発行会社という。(そのまま)
<発行手続>
⇒発行する株式の内容について、定款で所定の事項を定める必要(108Ⅱ)
①剰余金の配当・残余財産の分配
配当優先株式の発行
②議決権制限
無議決権株式→議決権が制限される代わりに配当・残余財産の分配に関し優先さ
れることが多い(法律の要請ではない。)。
③譲渡制限
④取得請求権・取得条項
⑤全部取得条項
⑥拒否権
⑦クラス・ボーディング
A種株式とB種株式の2種類の株式を発行し、それぞれの種類株主総会で取締役を
2名ずつ選任する。
指名委員会等設置会社でない非公開会社に限り発行が認められる(108Ⅰただし
書)。
<種類株主総会とは?>
⇒ある種類の株式の種類株主を構成員とする会議体。
決議が定款の定めに基づいて行われる任意種類株主総会と、種類株主間の利害調整
のため、法律の規定に基づいて行われる法定種類株主総会とがある(321)。
⑹株主平等の原則(109Ⅰ)
株式会社は株主を、その有する株式の内容及び数に応じて平等に取り扱わなければ
ならない。
取→取締役。X→Y社大株主
取締役が剰余金を配当しないことにしたため、Xが反対
そこでY社はXの支持を得るため、一定金額の支払を約束
し、Xの支持を得た。
その後、Y社が上記金額の支払を拒絶したため、X提訴。
Xの訴えが認められるなら、事実上Xにのみに配当が行われるに等しい。
そこで、当該約束は、株主平等原則に反し無効である。
<株主平等原則の限界>
⇒絶対のものではなく、合理的理由に基づく一定の区別は許される(有力)。